辞めるかどうかを決めるとき、多くの人が気にするのが「その後、仕事が見つかるのか」です。ここでは40代・50代の転職について、判断の材料になる事実を並べます。転職を勧める記事ではありません。辞めない選択も含めて考えるための材料として読んでください。
40代・50代の転職市場の実際
求人自体はあります。ただし、若い世代と同じ職種・同じ条件で並んでいるわけではない、という点が実際のところです。
求人の募集・採用では、原則として年齢を理由に応募を制限することはできません(労働施策総合推進法第9条)。ただし、定年年齢を上限とする場合など、省令で定められた例外があります。求人票に年齢が書かれていなくても、選考で経験年数や配属先との兼ね合いが見られることは避けられません。
応募から内定までにかかる期間は、一般に若年層より長くなる傾向が指摘されています。書類選考の通過率が下がり、面接の回数も増えやすいためです。数週間で決まる前提ではなく、数か月単位で見ておくほうが現実的です。
年齢階級別の転職の状況は、厚生労働省の「雇用動向調査」で毎年公表されています。入職率や、転職前後で賃金がどう変わったかの割合が年齢別に出ているため、自分の年代の傾向を確認できます。
在職中に探すか、辞めてから探すか
どちらにも利点と難点があります。
| 在職中に探す | 辞めてから探す | |
|---|---|---|
| 収入 | 途切れない | 途切れる(失業保険は待期などの期間がある) |
| 時間 | 面接の日程調整が難しい | 動きやすい |
| 交渉 | 条件が合わなければ断れる | 決めなければという圧力がかかりやすい |
| 心身 | 消耗している場合は続けるのが難しい | 休養を挟める |
収入面だけを見れば在職中が有利です。一方で、体調を崩している、勤務時間が長く活動時間が取れないといった事情があるなら、先に辞める判断もあります。
判断の分かれ目は「無収入で何か月耐えられるか」です。この見通しは後述します。
年収は下がるのか
下がるとは限りませんが、下がる可能性は考慮しておくべきです。
下がりにくいのは、同じ業種・同じ職種へ移る場合です。経験がそのまま評価されるため、条件を維持しやすくなります。逆に、業種も職種も変える場合は、経験の評価が難しくなり、条件が下がりやすくなります。
役職者だった人が、役職のない求人に応募する場合も差が出ます。前職の役職手当が大きかったほど、額面の差は開きます。
なお、転職前後の賃金の変化は「雇用動向調査」に年齢階級別の割合が出ています。増えた人、変わらない人、減った人がそれぞれ一定割合いるという形で示されているため、一律に下がると考える必要はありません。
求人が見つかりやすい分野
経験がそのまま職務内容につながる分野は、年齢が相対的に不利になりにくいとされています。
- 資格や実務経験が要件になる職種(施工管理、設備保全、経理、法務など)
- 慢性的に人手が不足しているとされる分野(介護、運輸、建設、警備など)
- 前職の取引先や業界の知識が生きる営業職
ただし、人手不足の分野は、その理由が労働条件にある場合もあります。求人が多いことと、働きやすいことは別の話です。応募前に労働時間、休日、離職率を確認してください。
また、65歳までの雇用確保措置が事業主に義務づけられているため(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条)、50代の採用でも定年までの期間を前提に検討されることがあります。応募先の定年年齢と、その後の継続雇用の扱いは確認しておくと見通しが立ちます。
応募時に不利になりやすい点と、どう補うか
年齢そのものより、次の点が判断材料にされやすいとされています。
- 年下の上司の下で働けるか:面接で確認されることがあります。あらかじめ考えを整理しておきます。
- 給与水準の折り合い:前職と同水準を求めると選考が進みにくくなります。あらかじめ下限を決めておくと判断が早くなります。
- 応募書類が抽象的:「マネジメント経験」だけでは伝わりません。人数、期間、担当範囲、結果を数字で書きます。
- 業務システムやPCへの対応:使用経験のあるソフトを具体的に書いておきます。「使える」ではなく、何をどこまで扱っていたかを書きます。
- 応募の理由が前職への不満だけ:面接では前職を辞める理由も聞かれます。不満を並べると、同じ理由で辞めると受け取られやすくなります。
ハローワークと転職サイト・エージェントの使い分け
役割が違うため、併用する人が多い窓口です。
- ハローワーク:地元企業や中小企業の求人が中心です。事業主側は無料で求人を出せます。失業保険の手続きと同じ窓口なので、求職活動の実績としても扱われます。職業訓練の相談も同じ場所でできます。
- 転職サイト:自分で検索して応募します。求人数が多く、比較しやすい一方、応募先の絞り込みは自分で行います。
- 転職エージェント:担当者が求人を紹介します。書類の書き方や面接日程の調整を任せられますが、紹介される求人は担当者の判断を経るため、年代や職種によっては紹介数が限られることがあります。
どれか一つに絞る必要はありません。ハローワークで地元の求人を見つつ、サイトで相場を確認する、という使い方が現実的です。
辞めた後の生活費の見通し
無収入で何か月耐えられるかを、先に計算しておきます。見落とされやすいのは、辞めた後に増える支出です。
- 健康保険料(任意継続は会社負担分がなくなり、全額自己負担になります)
- 国民年金保険料
- 住民税(前年の所得にかかるため、収入が減っても請求は続きます)
これらの手続きと期限は会社を辞めた後の手続き一覧にまとめています。
収入面では失業保険(雇用保険の基本手当)がありますが、手続きから振込まで時間がかかり、自己都合の場合は給付制限もあります。条件や時期は失業保険の受給ガイドを確認してください。
よくある質問
ブランクがあると不利になりますか
期間が長いほど説明を求められやすくなります。療養や介護など事情がある場合は、その旨を簡潔に伝えれば足りることが一般的です。空白そのものより、説明できないことのほうが問題になりやすいとされています。
資格を取ってから転職すべきですか
資格が要件になっている職種であれば有効です。一方、実務経験が重視される職種では、資格取得のために期間を空けるより、経験を整理して応募するほうが早い場合があります。職業訓練はハローワークで相談できます。
年齢を理由に断られました
募集・採用における年齢制限は原則として禁止されています(労働施策総合推進法第9条)。ただし例外があり、選考結果の理由開示までは義務づけられていません。明らかに不当と感じる場合は、労働問題の相談先一覧の窓口に相談する方法があります。
本記事は一般的な情報提供であり、法律相談ではありません。個別の事情については、勤務先の就業規則を確認のうえ、都道府県労働局の総合労働相談コーナー、または弁護士等の専門家にご相談ください。