失業保険と呼ばれているのは、雇用保険の「基本手当」のことです。仕事を探している間の生活を支える制度で、退職すれば誰でも自動的に受け取れるものではありません。

条件、金額、時期、期間、手続きの順に整理します。退職後の手続き全体は会社を辞めた後の手続き一覧にまとめています。

受給の条件

大きく分けて、次の2つを満たす必要があります。

ひとつは、雇用保険に一定期間加入していたことです。自己都合など一般の離職では、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが原則とされています(雇用保険法第13条第1項)。倒産や解雇などによる離職では、離職の日以前1年間に通算6か月以上と、条件が緩やかになります。

もうひとつは、働く意思と能力があり、実際に仕事を探していることです。基本手当は失業している状態に対して支給されるため、次の場合は対象になりません。

  • すぐに働くことができない状態にある(病気、けが、妊娠・出産、育児など)
  • 就職する意思がない
  • すでに次の就職先が決まっている

いくらもらえるか

1日あたりの支給額を基本手当日額といいます。考え方は次のとおりです。

まず、退職前の6か月間に支払われた賃金の総額を180で割って、賃金日額を出します。ボーナスは含めないのが一般的です。この賃金日額に給付率を掛けたものが基本手当日額です。

給付率は、賃金日額が低いほど高く、高いほど低くなる仕組みで、おおむね5割から8割の範囲とされています。年齢によっても異なります。

いつからもらえるか

手続きをしたその日から受け取れるわけではありません。ハローワークで求職の申込みをして受給資格が決まった後、7日間は待期期間となり、この間は支給されません(雇用保険法第21条)。これは離職理由にかかわらず共通です。

会社都合など会社側の事情による離職であれば、待期期間の満了後から支給の対象になります。

自己都合による離職の場合は、待期期間に加えて給付制限期間が設けられています(雇用保険法第33条第1項)。この期間は法改正によって変更されており、2025年4月1日以降に離職した場合は原則1か月とされています。それ以前の離職では原則2か月でした。ただし、一定期間内に自己都合の離職を繰り返している場合など、期間が長くなる例外があります。

どのくらいの期間もらえるか

受け取れる日数を所定給付日数といいます。日数は一律ではなく、次の要素で変わります。

  • 離職理由(自己都合か、倒産・解雇などか)
  • 雇用保険の被保険者だった期間
  • 離職時の年齢

自己都合など一般の離職では被保険者期間の長さで決まり、倒産や解雇などによる離職では、これに年齢が加わって幅が大きくなります。長く加入していた人、年齢が高い人ほど日数が長くなる傾向があります。

また、基本手当を受け取れる期間は、原則として離職日の翌日から1年とされています(雇用保険法第20条第1項)。所定給付日数が残っていても、この期間を過ぎると受け取れません。手続きが遅れるほど不利になる仕組みです。

申請の流れ

住所地を管轄するハローワークで手続きします。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 会社から離職票が届く(退職後2週間程度かかることがあります)
  2. ハローワークで求職の申込みをし、離職票を提出する
  3. 受給資格が決定し、7日間の待期期間に入る
  4. 雇用保険の説明会に参加する
  5. 指定された認定日にハローワークへ行き、失業の認定を受ける
  6. 認定後、おおむね1週間程度で指定口座に振り込まれる

その後は、原則として4週間に1度の認定日ごとに、この5と6を繰り返します。

手続きには、離職票のほか、本人確認書類、マイナンバーが確認できる書類、写真、本人名義の預金通帳などが必要です。必要書類はハローワークによって案内が異なることがあるため、事前に確認しておくと二度手間になりません。

受給中に気をつけること

求職活動の実績

失業の認定を受けるには、認定の対象期間中に求職活動を行った実績が必要です。求人への応募、ハローワークの職業相談、セミナーの受講などが実績として扱われます。

必要な回数や、何が実績として認められるかは、給付制限の有無やハローワークによって運用が異なります。初回の説明会で案内があるため、そこで確認してください。

アルバイトをする場合

受給中にアルバイトをすること自体は禁じられていません。ただし、働いた日や収入は必ず申告する必要があります。

労働時間や収入によって、その日の分が減額される、支給が先送りになる、あるいは就職したものとして扱われるなど、取り扱いが分かれます。

会社都合になるケース

離職理由が会社側の事情によるものと認められると、給付制限がなく、所定給付日数も長くなることがあります。区分は大きく2つです。

  • 特定受給資格者:倒産や解雇など、会社側の事情で離職を余儀なくされた人(雇用保険法第23条第2項)
  • 特定理由離職者:有期契約が更新されずに離職した人や、体調、家族の介護、転居など正当な理由のある自己都合で離職した人

自分では自己都合だと思っていた事情でも、実際には特定理由離職者に当たることがあります。長時間労働やハラスメント、賃金の未払いなどが背景にある場合も同様です。

よくある質問

退職前に申請できますか

できません。離職票が交付されてからの手続きになります。ただし、必要書類の確認や制度の相談は、退職前でもハローワークで受け付けています。

家族の扶養に入りながら受給できますか

健康保険の被扶養者の要件には収入基準があり、基本手当の日額によっては扶養に入れないことがあります。扶養を外れる基準は加入先の健康保険によって異なるため、家族の勤務先を通じて確認してください。

途中で就職が決まったらどうなりますか

所定給付日数が一定以上残っている状態で早く就職が決まった場合に、再就職手当という一時金が支給される制度があります。要件があるため、就職が決まった時点でハローワークに申し出てください。


本記事は一般的な情報提供であり、法律相談ではありません。個別の事情については、勤務先の就業規則を確認のうえ、都道府県労働局の総合労働相談コーナー、または弁護士等の専門家にご相談ください。